フラット35の新築の技術基準のうち、耐久性基準について、よくある質問をご紹介します。
在来木造の住宅を準耐火構造の住宅とした場合、耐久性基準に適合させる必要はないのですか。
在来木造の住宅でも、準耐火構造(省令準耐火構造を含みます。)の住宅の場合には、工法毎の耐久性基準に適合させる必要はありません。
鉄骨造の住宅ですが、準耐火構造の住宅にならない場合には、耐久性基準に適合する必要はあるのでしょうか。
鉄骨造で準耐火構造(省令準耐火構造を含みます。)の住宅にはならない場合、住宅の構造は「木造の住宅」になります。
したがって、鉄骨の防錆措置を施す等、鉄骨造の耐久性基準に適合させることが必要になります。
既存住宅部分を残して建替えを行う場合、耐久性基準の適用範囲はどのようになりますか。
既存住宅部分については、耐久性基準の適用範囲外となります。新設部分についてのみ、耐久性基準に適合させることが必要です。
ただし、既存部分に新設部分を重ねて建設する場合は、耐久性基準とは別の基準により、既存部分は主要構造部を耐火構造とした建築物になるようにすることが必要となります。
在来木造の住宅で、一部の梁に鉄骨を用いた木造の住宅の場合、耐久性基準の適用はどのようになるのでしょうか。
工法が混在する場合は、その部位毎に工法毎の耐久性基準を適用することになります。
設問のような住宅は、在来木造の部分は外壁の軸組等に防腐・防蟻措置を施すなどの木造住宅の基準を適用します。そして、鉄骨梁の部分には防錆措置を施すなどの鉄骨造住宅の基準を適用します。
2戸の連続建てで、1戸はフラット35を利用しますが、残りの1戸は利用しません。耐久性基準の適用範囲はどのようになりますか。
耐久性基準は住宅が存在する建築物全体に適用されることになります。
したがってフラット35を利用しない住宅部分も含めて、建築物全体が耐久性基準に適合することが必要になります。
店舗併用住宅の場合、耐久性基準の適用範囲は住宅部分のみですか。それとも建築物全体になりますか。
店舗併用住宅でも、耐久性基準は住宅が存在する建築物全体に適用されます。
したがって店舗部分も含めて、建築物全体で耐久性基準に適合させることが必要になります。
犬走りがある場合、基礎の高さはどこから測定すればよいのですか。
基礎立ち上がりの寸法とは、建物周辺の地面(GL面)から基礎の上端までまたは地面から土台下端までの高さのことをいいます。
したがって、犬走りはないものとして、基礎高の基準を適用することになります。
ただし、基礎の上に載っている土台が、地面からの雨水の跳ね返りを受けないようにするためには、犬走りがもしあったとしても、その上端から土台をできるだけ離しておく(基礎の立上がりを高くしておく)方が良いでしょう。
縁側等に部分的にコンクリート造の靴脱ぎ場等がある箇所についても、基礎の高さの基準は適用されるのですか。
ごく一部に設けられる、一般的な靴脱ぎ場等の箇所は、基礎の高さの基準は適用されません。その他の箇所で、地面(GL面)からの高さを40cm以上とします。
ただし、靴脱ぎ場のような部分は軒の出を大きくしておくなど、雨水の跳ね返りを少なくする工夫はしておいたほうがよいでしょう。
傾斜地においては、基礎の高さの測定方法はどうするのですか。
土台等の木部の腐朽を抑制するには、基礎を高くして、雨水のはね返りや地面からの湿気による影響を抑えることが大切になります。そのため、基礎の外周部分の全てにおいて、地面から基礎上端まで、または地面から土台下端までの高さを、40cm以上確保しておく必要があります。
外壁の長さ4m以下毎に床下換気孔を設置しますが、一部、玄関土間があるため、床下換気孔が設置できない箇所があります。この場合の「4m以下毎」の取扱いはどうなるのでしょうか。
土間床については、床下空間がないので、床下換気孔の設置基準は適用されません。土間床等の部分を除いて、「4m以下毎」に設置します。
なお、土間床部分については、コンクリートの下に防湿フィルムを敷く等、防湿上の配慮をしておくとよいでしょう。
土間床の上に根太を敷き、床仕上げを行います。床仕上げ材と土間床上端部との間に数cm程度のすき間が生じますが、このような部分であっても床下換気孔の設置が必要な床下部分として取り扱われるのでしょうか。
とくに床下換気孔は必要ありません。
質問の例のように、いわゆる「床組」に含まれる空気層は、あくまで床組の一部になります。そのため、床下換気が必要な箇所とは扱いません。
ただし、床組は、土間床コンクリートの十分な養生期間を確保しないと、コンクリートの乾燥による水蒸気が床組内部に滞留することもありますので、注意しましょう。
機械式ファンを用いた強制換気を行うことによって床下換気孔を省略する方法は認められますか。
質問のような方法では省略は認められていません。
フラット35で必要としている床下換気は、あくまで「バランス良く」換気を行うことを求めています。そのため、4m毎に300cm2以上の換気孔を設置する、または、1m当り有効面積75cm2以上の換気孔を設置することになっています(なお、建築基準法では施行令第22条において「5m毎」に300cm2以上の換気孔の設置が規定されています)。
したがって、床下換気孔を1箇所にまとめて設置したり、1箇所に機械式ファンを設置して強制換気することで床下換気孔の設置を省略する、といったことは認められていません。
ねこ土台工法によって床下換気を行うことは認められますか。
床下換気孔は「4m毎に300cm2以上の換気孔を設置すること」、または、「1m当り75cm2以上の換気孔を設置すること」としており、「ねこ土台工法」によるスリット状の換気孔であっても、必要な換気孔面積が確保されているものであればよいこととしています。
夏は開放されているが、冬は自動的に閉まるといった開閉式の床下換気孔を設置してもよいのでしょうか。
床下換気孔は、年間を通じて常に開放することで、床下の空気を常に外気と同じ空気質とすることを目的として設置するものです。
そのため、夏は開け、冬は自動的に閉まるという方式の換気孔は認めていません。
基礎断熱工法を採用した場合に、床下換気孔を設置してもよいのですか。
基礎断熱工法の場合は、床下換気孔を設置してはいけません。
断熱の基本は、断熱材で住宅全体をすっぽり覆ってしまうことです。基礎断熱工法で床下換気孔を設置すると、その断熱区画(屋外と屋内の熱的な境界)に孔を開けてしまうことになります。そのため、基礎断熱工法の場合は床下換気孔を設置しません。
基礎断熱工法の場合、断熱材を基礎の外側に施工してもよいのですか。
断熱材の施工位置は、フラット35の基準では限定していません。しかし、地中に埋めた断熱材は、一般的にシロアリの被害を受けやすいといわれています。建設する地域のシロアリの生息状況や被害状況等の実状に応じて、施工位置は慎重に検討しましょう。
基礎断熱工法で断熱材を内側に施工する場合、水平方向の断熱補強は施工しないといけないのでしょうか。
フラット35の基準としては、水平方向の断熱補強は定めていません。
しかし、断熱性能確保の観点から、仕様書に掲載しているような仕様によって、断熱補強をするとよいでしょう。
基礎断熱工法を採用しつつ、床にも断熱材を施工できますか。
基礎断熱工法の場合は、床部分に断熱施工をしてはいけません。
フラット35の基準として、基礎断熱工法とは、床に断熱材を施工せず、基礎に断熱材を施工し、床下換気孔を設置しない工法のことをいいます。
断熱材の施工にあたっては「熱的境界」を明確にすべきで、床部分に断熱施工をすると、床の上下で温度や湿度が異なってしまい、その境界部分で結露が発生する可能性があるため、床下空間は床上の室内空間と同じ環境(状態)にすべきといわれています。
耐久性基準を満たすためには、外壁等の軸組で地面からの高さが1m以内の部分については、必ず防腐・防蟻処理薬剤を使用しないといけないのでしょうか。
薬剤の使用は義務付けられてはいません(選択肢の1つ)。薬剤処理に替わる方法は次の方法があります
1. 部材の断面寸法を120mm×120mm以上とする方法
2. 外壁内に通気層を設ける(または外壁材を板張りとする)方法
3. 軒の出を90cm以上とした上で真壁構造とする方法
4. 下表の耐久性の高い樹種またはこれらの樹種を使用した集成材を用いる方法
地面からの高さが1メートル以内の外壁等の軸組(土台を除く)に使用できる「耐久性の高い樹種」
ひのき、ひ ば、べいひ、けやき、台湾ひのき、すぎ、からまつ、べいすぎ、くり、ダフリカからまつ、べいひば、こうやまき、さわら、ねずこ、いちい、かや、くぬぎ、み ずなら、べいまつ(ダグラスファー)、ウェスタンレッドシーダー、アピトン、ウェスタンラーチ、カプール、ケンパス、セランガンバツ、タマラック、パシ フィックコーストイエローシーダー、サイプレスパイン(豪州ひのき)、タマラック、ボンゴシ、イペ、ジャラ、インセンスシーターまたはセンペルセコイヤ
土台の防腐・防蟻措置において、薬剤を使用しなくてもよい樹種はありますか。
下表の「特に耐久性の高い樹種」、またはこれらの樹種を使用した集成材が使用することができます。
土台に使用できる「特に耐久性の高い樹種」
ひのき、ひば、べいひ、べいひば、くり けやき、べいすぎ、台湾ひのき 、こうやまき、さわら、ねずこ、いちい、かや、ウェスタンレッドシーダー、サイプレスパイン(豪州ひのき)、インセンスシーダーまたはセンペルセコイヤ
2Fに浴室及び脱衣室がある場合、その周辺に防水措置を行うことは必要でしょうか。
防水措置は必要です。
浴室及び脱衣室周辺の木部は、他の部位より腐朽する可能性が高く、場所、階数にかかわらず適切な防水措置(防腐・防蟻措置または防水上有効な仕上げ等を施す)を講じなければなりません。
なお、浴室がユニットバスの場合は、一定に防水効果が期待できることから、浴室の防水措置は省略可能です(脱衣室の防水措置は必要です)。
和室の真壁における「見えがかりの柱」(木材表面がそのまま見える仕上げ)の表面にも、防腐・防蟻措置を行なわなければならないのでしょうか。
室内に露出する部分は、防腐・防蟻措置を講じる必要はありません。
地面への防蟻薬剤を散布したくないのですが、どうすればよいですか。
地面への防蟻措置には次の3種類があります。
1または2の場合には、地面への防蟻薬剤の散布等は不要となります。
1. 基礎を鉄筋コンクリート造のべた基礎とする
2. 基礎の内周部の地盤上に一様に打設したコンクリート(布基礎と鉄筋により一体化したものに限る)で覆う
3. 薬剤により基礎内周部及びつか石の周囲の土壌処理を行なう
無筋のコンクリート(土間コンクリート)を打設することで、薬剤散布による床下地面への防蟻処理を省略することは可能ですか。
防蟻処理は省略できません。
無筋のコンクリートでは、打設した面のひび割れが起きやすくなっており、そのひび割れのすき間がシロアリの侵入口になることが懸念されます。
なお、フラット35の耐久性基準としては、土間コンクリート部分に鉄筋を入れ、かつ、布基礎の立ち上がり部分の鉄筋と一体化(連続化)することで、ひび割れが起きにくくなり、シロアリの侵入口ができにくくなるため、薬剤処理を省略することができます。
外壁通気層を通った空気を小屋裏へ抜く場合、小屋裏換気のための吸気として見なしてよいですか?
外壁通気層を通じて小屋裏へ入る空気は、小屋裏換気のための吸気とは認められません。
よって、外壁通気層からの吸気量は考慮しないで、所定の有効換気面積を確保できる小屋裏換気孔(吸排気孔)の設置をします。
小屋裏換気の際に用いる有効換気面積はどのように算定するのですか。
実際の孔(鉄網があればその鉄網部分を除いた実質開口)の面積の合計です。(1つの孔の面積×孔の数)
小屋裏換気として、吸気孔を軒裏に設置し、棟換気部材によって排気を行う場合は、棟換気部分はどのくらいの換気孔面積が必要ですか。
棟換気部分は、排気孔の有効面積の天井面積に対する割合が1/1,600以上が必要です。
なお、棟換気部材の形状が複雑であり、有効面積がわからないときは、測定(試験)により求められる「相当有効開口面積」を用いれますので、棟換気部材の販売会社、製造会社等に確認してください。
機械式ファンを用いて強制換気を行うことによる小屋裏換気は認められますか。
この方法での換気は原則として、認められません。
小屋裏換気は小屋裏全体をまんべんなく換気するので、単純に機械式ファンによる1時間当たりの換気回数(換気量)の確保だけで性能を判断できません。
ただし、機械式ファンの排気孔、吸気孔が常時開放されているもの(シャッター等で自動開閉するものではない)で、さらにフラット35の基準どおり(所定の位置に所定の値以上の孔の面積を確保)になっていれば問題はありません。
屋根断熱工法とする場合にも、小屋裏換気孔の設置は必要ですか。
この要件では、小屋裏換気孔を設置してはいけません。
屋根断熱とする場合は、天井より上の部分は室内と同じ環境(状態)であり、その部分は一般的に言う「小屋裏」ではなく、あくまでも「室内の一部」として考えますので、換気孔を設置してはいけません。
陸屋根で屋根断熱工法とし、かつ、小屋裏空間がない場合でも、小屋裏換気孔の設置は必要なのでしょうか。
この要件では小屋裏換気孔を設置する必要はありません。
住宅が総2階ではなく、1F下屋部分がある場合、1F小屋裏部分の小屋裏換気孔の有効開口面積の算定にあたってはどこの天井面積を用いるのですか。
1F下屋部分の天井面積を基にして、小屋裏換気孔の有効面積を算出する必要があります。
また、下屋部分が2か所以上独立してある場合、それぞれの下屋部分毎に有効な開口面積を満足する小屋裏換気孔を設置しなければなりません。
小屋裏換気孔の必要面積の算定にあたっては、小屋裏収納部分の面積は除外することができるのですか。
小屋裏収納が屋根部分まで達していた場合は(その部分のみ屋根断熱工法を採用していることになる)、その部分の面積は除外して小屋裏換気の必要有効面積を算定します。
なお、小屋裏収納まわりは断熱材を施工しなければなりません。
小屋裏換気措置において、仕様書では5つのパターンのうちのいずれかを選択することとなっていますが、これらのパターンを組み合わせて計画することは可能ですか。
あくまでいずれかのパターンの選択になりますので、組み合わせることはできません。
小屋裏換気は、小屋裏の空気の流れをつくります。換気孔の設置場所により、必要となる換気孔の面積が異なることから、一定にその有効性の認められる5つのパターンから選択することになります。
これらを組み合わせて計画したとしても、必要な換気量が確保されているかどうかがわからないため、組み合わせによる換気計画は原則として認められていません。
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