住宅ローン相談で、よくあるのが、住宅ローン減税を受けている間の、繰上げ返済をするべきかどうかということ。
住宅ローン減税とは、平成27年度の住宅購入であれば、住宅ローン4,000万円までの借入に対して、毎年12月末の借入残高の1%が10年間、所得税・住民税から控除されるという制度です。 (認定長期優良住宅は5,000万円まで)
条件としては、
● 合計所得3,000万円以下
● 償還期間10年以上の借入
● 物件の条件(床面積50u以上、中古の場合には、築20年(マンションは築25年まで、または耐震基準をクリアすること)など)
などがあります。
住宅ローンの繰上げ返済については、2つあり、毎月の返済金額を少なくする返済額軽減型繰上げ返済と、毎月の返済額は変えずに、返済期間を短くする期間短縮型繰上げ返済があります。
繰り上げ返済は、借入当初のほうが、繰上げ返済することによる金利負担の軽減効果が大きいため、余裕がある方は、早期に取り組むほど有利になります。
住宅ローン減税は、年末の借入残高の1%が減税されるので、借入額が多く残っているほど、減税額も増えます。
それでは、繰上げ返済と住宅ローン減税、どちらを優先させるべきか・・・
いろいろなケースで、検証してみましょう。 (前提条件としては、住宅ローンは、元利均等返済、繰上げ返済方法は、期間短縮型にしています。尚、金利の上昇などは一切考慮に入れていませんのでご注意ください)
●ケース1
借入金額 3,000万円 借入金利 2.35% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,090,000 |
繰り上げ返済 | \7,180,000 |
トータルの軽減額 | \9,270,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,670,000 |
繰り上げ返済 | \5,380,000 |
トータルの軽減額 | \8,050,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果が大きいため、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていたほうが、お得なようです。
●ケース2
借入金額 3,000万円 借入金利 0.875% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,030,000 |
繰り上げ返済 | \2,310,000 |
トータルの軽減額 | \4,340,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,580,000 |
繰り上げ返済 | \1,760,000 |
トータルの軽減額 | \4,340,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済したほうが有利になり、トータルでは、どちらのケースでも同じ結果となりました。
今度は、借入額が、4,000万円の場合です。
●ケース3
借入金額 4,000万円 借入金利 2.35% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,970,000 |
繰り上げ返済 | \7,840,000 |
トータルの軽減額 | \10,810,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \3,560,000 |
繰り上げ返済 | \5,890,000 |
トータルの軽減額 | \9,450,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果が大きいため、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていたほうが、お得なようです。
●ケース4
借入金額 4,000万円 借入金利 0.875% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \2,900,000 |
繰り上げ返済 | \2,450,000 |
トータルの軽減額 | \5,350,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \3,450,000 |
繰り上げ返済 | \1,900,000 |
トータルの軽減額 | \5,350,000 |
この条件でも、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済したほうが有利になり、トータルでは、どちらのケースでも同じ結果となりました。
今度は、借りれ額が、2,000万円の場合です。
●ケース5
借入金額 2,000万円 借入金利 2.35% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \1,080,000 |
繰り上げ返済 | \6,170,000 |
トータルの軽減額 | \7,250,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \1,780,000 |
繰り上げ返済 | \4,550,000 |
トータルの軽減額 | \6,330,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果が大きいため、トータルでは、(1)のように、毎年繰り上げ返済をしていたほうが、お得なようです。
●ケース6
借入金額 2,000万円 借入金利 0.875% 返済期間 35年の場合
(1)1年目から、年間100万円を10年間繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \1,060,000 |
繰り上げ返済 | \2,030,000 |
トータルの軽減額 | \3,090,000 |
(2)10年間繰り上げ返済をしないで、11年目に1,000万円を繰り上げ返済した場合
種類 | 軽減・節約効果金額 |
住宅ローン減税 | \1,720,000 |
繰り上げ返済 | \1,510,000 |
トータルの軽減額 | \3,230,000 |
この条件では、住宅ローン減税は、繰上げ返済しないほうが有利ですが、繰上げ返済の効果は、毎年返済したほうが有利になりますが、トータルでは、(2)の10年間繰り上げ返済をしないで、住宅ローン減税を受けるほうが有利になりました。
ポイントとしては、以下のような点に注意が必要です。
● 借入額が多く、金利が高いほど、早期に繰り上げ返済をしたほうが有利になる。
● 借入額が少ないと、減税対象である、当初返済期間の10年を下回ることで、繰上げ返済をすると減税が打ち切られるため、繰上げ返済をしないで、減税で受けるほうが有利になることもある。
●トータルの効果がそれほど変わらない場合には、10年間手元資金を運用で増やすことで、住宅ローン減税中は、繰上げ返済をしないで、11年目にまとめて繰り上げ返済するほうが有利な場合もある。
大切なことは、借入条件や、繰上げ返済の金額、住宅ローン減税が受けられる金額などが違うと、有利な選択が変わるという点です。
やはり、シミュレーションをして有利な選択肢を考えることが重要です。
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